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【保存的療法】
痔核(いぼ痔)が肛門の外に出ていないか、あるいは出てもすぐにもどるような場合は、手術をせず保存的治療を行います。出血の程度も少量なら体に害があるわけでもありませんので、それだけでは手術適応にはなりません。保存的療法にはいくつかの種類があります。
(1)座薬、軟膏、内服薬による治療法
(2)5%フェノールアーモンド注射による硬化療法
内痔核(いぼ痔、軽度脱肛)が対象で、外痔核には適応がありません。この薬剤を痔核、および痔核根部血管周辺粘膜下に注射することで、痔核血管周辺に炎症を起こさせ、その二次的な線維化により痔核内の血流を低下させ、痔核を消滅させる治療法です。
硬くなった痔核, 高度脱肛, 切れ痔, 痔ろう等には、適応はありません。比較的歴史の古い治療法でさまざまな薬品が経験的に使用されてきました。注射は、痛覚の無い粘膜の部分に行います。肛門の皮膚の部分は敏感ですので注射はできません。
麻酔も入院も不要で、非常に簡単におこなえる治療なのですが、数年で再発しやすいのが欠点です。また出血を止める効果は高いのですが、痔核そのものを消滅させる効果は弱く、脱出の強い痔(脱肛)には効果が弱いです。
(3)ALTA(商品名ジオン)の注射療法
内痔核に対する治療法で、手術と同程度の治療効果が期待できることで、最近注目されています。
(4)輪ゴム療法(輪ゴムで内痔をしばって消滅させる)
内視鏡治療(内視鏡を使った輪ゴム療法)もあります。
*これらは「切らない治療法」です。
・ただし、内痔にのみ有効で、外痔には行えません。
・外痔(皮垂)のみ、程度の軽い内痔+外痔の場合。
・日帰り手術(外痔は切除しないとダメ)がよいでしょう。
・もちろん希望されるなら短期入院でもよいです 。
【外科的療法】
(1)痔核根治術
現在行われている手術法は「半閉鎖式粘膜下痔核結紮切除法」が主流です。これは出血等の術後の合併症も少なく、肛門機能を温存する手術法です。ミリガン・モルガン氏法(結紮切除法)と云う術式もありますが、術後の治療日数がかかる、肛門狭窄があるなどの合併症があります。以前、ホワイトヘッド氏法という術式がありましたが、術後に「ホワイトヘッド肛門」と云われる肛門狭窄などの合併症があり現在行われていません。
(2)PPH
自動縫合器を用いる新しい術式です。肛門の皮膚や肛門上皮に全くキズをつけずに、肛門の上部の粘膜を痔核とともに輪状に切除し機械縫合します。全周性脱肛や直腸脱, Ⅲ度,Ⅳ度痔核に適応があります。術後の痛みや出血もなく入院日数も少なくてすみます。ただ難点としては、日本でまだ保険適用されていないことです。
結紮切除法
(半閉鎖法は粘膜縫合をします)
PPHに用いる自動縫合器
(Johnson&Johnson社)
【手術の合併症】
(1)術後出血
内痔核の手術で最も多い合併症は出血です。肛門は血行の豊富な部位ですので、縫合したところが切れて出血したり、血管結紮をした糸が便の通過による物理的な原因ではずれたりすることもあります。出血が多い場合には、手術室で麻酔をかけてもう一度血管結紮を行わなければなりません。術後の便秘で固い便が出たときには、このようなことが起こることがありますので、便を軟らかくしておく必要があります。紙に付く程度の出血は全く心配ありません。痔核の一般的な手術は大抵のキズはオープンですから排便時に少しは出血があります。
(2)排便時の痛み
肛門は敏感な部位ですので、排便時にキズの痛みを訴える人はけっこういます。ウォシュレットによる洗浄、ヒビテン液による消毒を頻回に行うことによりキズを清潔に保つことが大切です。
(3) 肛門狭窄(狭くなる)
手術のキズが大きかったり,キズが感染したりすると、肛門が狭くなることがあります。肛門ブジーというものを用いて少しずつ肛門を拡げていきます。
(4)手術創部(キズ)の腫れ
外痔核を併発している人は術後にキズの腫れを起こすことがあります。手術前より腫れることもありますが、座薬や軟膏の使用、肛門の保清により数週間でよくなります。
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